アーサナ(ヨガポーズ)が上手くなるには、体の使い方を体得する必要があります。
意外かもしれませんが、<呼吸>というのも、体の使い方なんです。呼吸による体への影響があるので、呼吸を上手くしないとアーサナに弊害が出てくるのです。
ヨガをやっていない人でも、腹式呼吸(ふくしきこきゅう)、胸式呼吸(きょうしきこきゅう)があるという認識は最低限持ち合わせて昨今ですが、呼吸法には様々な呼び名、方法があります。
今回は、アーサナ中の呼吸が、アーサナ自体を邪魔している可能性があるということをお伝えしたいと思います。
目次
その呼吸がアーサナの邪魔をする
先程、取り上げた腹式呼吸、胸式呼吸ですが、よくこういう質問を頂きます。
「ヨガは、腹式呼吸ですか?それとも胸式呼吸ですか?」
いつも、こうお答えします。
「いいえ、どちらもです。」
そして、今回は、こうお伝えします。
「ヨガでは、腹式呼吸も胸式呼吸も邪魔をします」
腹式呼吸も胸式呼吸も体が動く
例えば、ねじりのポーズをしたとします。
▼マリーチ・アーサナD
体と脚がピッタリついて、腕を回して掴んでいます。
この状態で、おなか(腹腔(ふくくう):肋骨(ろっこつ)と骨盤(こつばん)の間のスペース。主に内臓がある)が動く腹式呼吸を行えば、お腹(多少、背中側)が膨らみ、脚を押しやり、手が内側から押し広げられ離れていきます。また、お腹がへこむことにより、身体が床に落ちていき、背中が丸まり、同じく、手を掴んでいる状態を保つのが難しくなります。
この状態で、むね(胸郭(きょうかく):12個の肋骨から構成される胸周辺および、胸腔(きょうくう):胸郭の中のスペース。心臓、肺がある)が動く胸式呼吸を行えば、体は横に広がり、脚を押しやり、手が内側から押し広げられ離れていきます。
簡単に言うと、腹式呼吸をすると前後に身体が動き、胸式呼吸は横の広がりによる動きになる。
もしも、段々と掴んでいた手が離れていきそうになるのであれば、腹式呼吸、胸式呼吸をしていないかチェックしてみてください。
このように呼吸の結果、体の拡張と収縮が起こり、アーサナの邪魔になることがあるのです。
したがって、呼吸による、体の動きを最小限に留める必要があります。
縦の呼吸をする
腹式呼吸は前後、胸式呼吸は横の動きだと言いました。
それでは、どのような呼吸にすることがアーサナにとって有用なのでしょうか?
それは、前後左右でもない、上下の縦軸による呼吸です。
座った時には、床に当たる面のお尻の骨の、座る骨と書いて、座骨(ざこつ)と頭のてっぺんの頭頂部を上と下に伸ばすように呼吸をすることです。
立っている時は、内くるぶしの真下(ざっくりだとカカト)と頭頂部の縦軸、上下を伸ばすように呼吸することです。
呼吸は、吸い始め、吐き始めが肝心
「息が続かない」「ゆっくり、長くなんて呼吸できない」って思ったことありませんか?
もしかしたら、息を吸い始めたとき、自分の息を吸える容量の7割ほど一瞬で吸っている可能性があります。
例えば4秒間息を吸うとします。1秒で7割も息を吸い込んでしまったら、残りの3秒を使って後の3割息を吸い込むということになります。逆もしかりで息を吐くときに一気に吐いてしまうと、、、
苦しい理由(わけ)それは、一瞬で自分の容量の7割を使っているから
しかも、呼吸は7割からが苦しくなってくる。
「呼吸が続かない、苦しい。」と思っている方は、自分がどのように呼吸をしているか観察することです。
まるで、アサガオの観察日記をつけて、模写して絵を描くときぐらいよくよく注意深く観ることです。
もしも、自分の呼吸が、スタートダッシュを決め込んでいることに気が付けたなら・・・
自分が、いったい何をしているのか?それに気が付く(いわゆる、気づき、アウェアネス)ことができたなら、自分に選ぶ権利が戻り、それは変えられます。
あとは、
自分が息を吸う瞬間、少しずつ吸おうとするだけ、息を吐く瞬間、少しずつ吐こうとするだけ。
呼吸には、吸うと吐くの切り替わり目がある
呼吸とは、<空に放り投げられたボール>みたいなものです。
投げたボール(吸う息)はボールが頂点に達したとき、落下する方向(吐く息)に切り替わります。
吸うと吐くの切り替わり目をスタンバと言います。ちょうどボールが頂点に達したときのようです。
このスタンバは、息を吸っているのか?吐いているのか?(ボールが上がっているところなのか?落ちているところのなのか?)が分からない、その瞬間を指します。
このスタンバを見つけられたとき、深い領域に達し、呼吸はさらに深くなってきます。
まとめ
呼吸によってアーサナを深めるために必要なことは
1.呼吸の影響を最小限に留めること。
2.上下の縦軸の呼吸をすること。
3.吸い始め、吐き始めを注意深くゆっくりにすること。
4.スタンバを見つけること。
以上を踏まえて練習してみてくださいね。